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鍵を扉につけたまま洗浄しないほうが良い理由

玄関など、扉の鍵の調子が悪い時、対策方法が全く分からないという方もおられるでしょうが、ちょっとでも機械などに触ったことがある方なら、

「ごみなどが詰まって、動きが悪くなってるんじゃないか?」

と疑ってみるのではないでしょうか。

鍵そのものの部品や構造に問題が起きている場合以外であれば、ほとんどのケースで、その答えは「正解」です。

鍵穴の洗浄を行うことで、問題が解消できるケースは非常に多いのが実際のところ。

「ブレーキクリーナー」や「パーツクリーナー」などの洗浄スプレーを使用すれば、原因が「ごみの詰まり」だった場合は解消可能です。

ただし、その方法には注意を払う必要があります。

私の考えをもとにご説明してみたいと思います。

やってしまいがちな間違い

まず方法として思いつくのは、扉にシリンダーを付けたままで洗浄する方法。

ばらしなどの手間がかからず、複雑な鍵の構造を知る必要もありませんからお手軽に見えます。

しかし、この方法は、鍵を外すことがどうしてもできない場合など、よほどの理由がない限り、すべきではありません。

やってはいけない理由

いくつか理由はありますが、主なものを挙げてみることにします。

錠ケースの内部油脂も洗い流してしまう

一般的な玄関ドアなどで使われているものは、扉の表側と内側の間に、開閉機構部分(「錠ケース」と言います)を取り付け、それを外側から取り付けたシリンダーなどで動作させる構造になっている「彫込式」と言われます。

錠ケースは下の左図のような形状をしている開閉を制御するための部材で、下の右図のような、扉の中でハンドルが取り付けられている場所に埋め込まれているものです。

錠ケース
扉の中の錠ケース

実際に取り付けられている状態では、シリンダーなどを取り外した場合、以下の画像のように見ることができます。

扉の開閉部分から見える錠ケース
表側の部材を取り外した状態の錠ケース

この錠ケース内部には、錆の発生を防止し動作をスムーズにするため、グリスなどの油脂が仕込まれている場合もあり、洗浄力の強いクリーナーを使用すると、内部の油脂まで洗い流して、錆が進行したり、動きが悪くなってしまうなどの問題が起きる可能性を持っています。

また、洗い流された油脂や油脂系の潤滑剤が扉の中を伝って床まで垂れた場合、扉の中にたまった油や汚れが下の縁から流れ出し、油の汚れが床について汚く見えてしまうだけではなく、足を滑らせて転倒する事故の危険性も生まれてしまうのです。

シリンダー内部に汚れが残ってしまう

鍵を差し込んで回転させる部分をシリンダーと呼びますが、このシリンダー内部の汚れを取る場合、取り外して、シリンダーを垂直に立てた状態で洗浄するのが基本。

洗い流した汚れが、吹き込んだクリーナーとともに反対側から流れ出しやすくするためです。

シリンダー後端側に隙間が少ない構造のシリンダーは、後ろ側からクリーナーを吹き込んで、鍵の差込口から汚れを外に出すこともよく行われます。

この作業を扉に取り付けたままの状態で行うと、シリンダー後端に取り付けられている錠ケースとの連結部分が邪魔になって、うまく汚れを外へ押し出すことができない場合があります。

すると、シリンダー内に付着していた汚れは外へ出ることができず、シリンダーの下側に溜まって残ってしまうことも。

下の画像は、現在多くの場所で使われている、美和ロックのU9というシリンダーです。アルファベットの「w」のような鍵穴が特徴で、我々鍵屋でもピッキングで解錠するには相当な時間が必要になるというレベルのセキュリティを誇ります。

扉に取り付けられているときは、写真のように外周から突き出した部分が下になるよう取り付けられています。

このシリンダーは、 回転させるように力を込めた際、下の図の赤色部分にあるロッキングバーが、内側に押し込まれることで引っ掛かる部分がなくなり、回すことが可能になります。

ところが、この重要な可動部分が収まっている場所は鍵の設置状態では下側になるため、洗浄によって剥がれ落ちたゴミが、たまってしまう可能性が高い場所でもあります。

スプレーの噴射でごみを外まで噴き出すことができなかった場合は、ごみが液体と一緒に下へ流れ落ち、稼働する部分にとどまってしまうのです。

動作を改善したいと思って行ったことが、悪化させてしまうケースもあるという例ですね。

今回のまとめ

ページ内でご説明した通り、鍵の調子が悪いときは、シリンダーを取り外してから洗浄などの対応をするようにしましょう。

ご自分での分解が難しい場合や、元に戻せなくなってしまったときは、近くの鍵屋さんを頼れば解決できます。

生活サポート西条でも鍵不調の対応は行っておりますので、広島県内の方はお気軽にご連絡ください!

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