蜂の種類によって毒の強さが量が違うのですべての場合とは言えませんが、ハチに刺されてしまうと腫れたり強い痛みを感じたり、体調やアレルギーによって重篤な症状を起こしてしまう可能性があります。
しかし、一部のスズメバチ類は更に毒を飛ばすという攻撃方法も持っていることはご存知でしょうか?
ハチの毒は透明な液体であるため、近くから攻撃を受けない限り気づくことは無いものと思いますが、毒を飛ばす行動は攻撃的なハチの種類にはしばしば見られます。
今回はハチが毒を飛ばしてくる場合とそのリスク、毒飛ばしから身を守る方法を紹介してみることにします。
ハチはなぜ毒を飛ばす?
そもそも、一部のスズメバチ類はなぜ毒を飛ばすのでしょうか?
ハチの体内には毒を生産するための臓器が備わっていますが、摂取した栄養を犠牲にしてまで作った毒を、直接挿し込む以外の方法で放出してしまうのは、効率的ではないはずです。
そこにはハチにとって重要な理由が含まれています。
威嚇して巣に近寄らせないため
まず最初に挙げる理由は、巣に接近しようとする相手を威嚇し、「攻撃するぞ!」と脅すことで近寄らせないようにするというもの。
オオスズメバチやキイロスズメバチによく見られる行動で、顎を「カチ!カチ!」と鳴らす威嚇音とともに毒を噴射してくるパターンです。
ハチにとって人間などの哺乳類は天敵の一つと捉えられていて、近づいて巣が破壊されることを防ぐために、遠ざけようとしての行動です。
遠巻きに2~3匹程度が飛び回りながら、音を出していることに気づいたら、既に警戒対象として認識されています。
それ以上接近する意思が無いということを示すため、ゆっくりと遠くへ移動しましょう。
そのまま離れずに同じ場所へいたり、巣へ近づくような行動をしてしまうと、攻撃対象としてマーキングされ、一斉攻撃を受ける羽目なってしまいます。
攻撃対象を味方に伝えるため
ハチが飛ばしてくる毒の中には、「警報フェロモン」が含まれています。
この「警報フェロモン」は、仲間のハチに攻撃対象を伝えるためのもので、毒が付着すると攻撃態勢に入ったハチが一斉に襲いかかってきます。
マーキングされているようなものなので、匂いを元に追いかけられますから、簡単に逃げるのは難しくなってしまうでしょう。
特に駆除しようとして攻撃を仕掛けた際に毒を付着させられると、ハチも興奮し防衛行動が活発になりますから、大量のハチが巣から出撃し一瞬で取り囲まれてしまうことも。
装備を整えていなかった場合は、短時間で危険な状態に陥ります。
相手が戦えない状態にするため
飛ばしてくる毒には、神経毒やタンパク質を分解する酵素などが含まれていて、刺されると皮膚を腫れさせたり痛みを感じさせる効果や、アレルギー症状を引き起こすなどの効果があります。
これに対し飛ばしてくる毒は、皮膚の表面に付着しても痛みなどを感じる可能性は低いと思われますが、ハチ毒に敏感なアレルギー体質の方はアレルギー症状が発生する危険は避けられません。
更に怖いのは、目などの粘膜に付着させられてしまった場合。
ハチは黒い部分に急所があるということを知っていますから、顔や頭の周辺は狙われやすい場所の代表格。
顔周辺を狙った攻撃で目に毒が入ってしまうと、角膜に無数の小さな穴が開けられてしまう可能性があり、大きな視力低下や最悪失明の危険性もあります。
これらの効果を活かして、攻撃対象を無力化してしまうのもハチが毒を飛ばす理由の一つなのです。
ハチが飛ばす毒から身を守るためには
ハチが毒を飛ばすのは、巣を守るためや相手を無力化してしまうためであることがわかりました。
目に入ってしまうと非常に危険なものであることも、おわかりいただけたものと思います。
本来なら、毒を飛ばされるような危険な環境に近づかないのが最善ですが、ハチの巣に気付かずに近づいてしまった場合のような、やむを得ない場面もあり得るでしょう。
そのような際や、駆除のために積極的に近づこうとしている際に、ハチが飛ばす毒から身を守る方法をご紹介しておきますね。
行動は「ゆっくり」が重要
これは威嚇段階であることが条件ではありますが、ハチが警戒しているような素振りを見せたら、刺激しないよう注意して離れていくというものです。
その際の行動は、とにかく「ゆっくり」を意識することが重要。
ハチの目の構造の記事でもご紹介しましたが、ハチの目は素早く動くものに敏感に反応します。
そのためゆっくりと動くことで警戒心を刺激せず、安全に逃げられる確率が高まります。
また、姿勢をできるだけ低く保つことも大切ですが、姿勢を下げる動きも「ゆっくり」
静かにしゃがんで、ハチの動きをよく見ながら距離を開けていきましょう。
ハチが近づいてくると恐怖心から手で払いのけようとしてしまいがちですが、これは危険!
払いのける動きを攻撃と勘違いされ、戦闘状態に突入しかねません。
とにかく「ゆっくり」を意識して、そーっと距離を取りましょう。
戦うなら十分な装備を
ハチの駆除を自分でしようと思うのであれば、刺されることに対する防御はもちろん必要ですが、飛ばしてくる毒への対策も絶対にしておかなければなりません。
一度こちらから攻撃してしまえば、即戦闘状態に突入し、防衛任務を負うハチたちはスクランブル発進とともに全力で襲ってきます。
実際我々プロの業者もこのようなハチに取り囲まれる場面は多くありますが、刺そうとして体を狙ってくるハチとともに、眼の前をホバリングしながら毒をフェイスガードへ飛ばしてくるハチも大量に飛び回ります。
駆除しようとする以上、このような状況になるのは想定内である必要があり、それを前提とした装備を整えてから挑むのが重要。
以前の記事で必要装備については紹介していますので、そちらを参考に最低限度の装備品を集めてから駆除に取り掛かってくださいね。
まとめ
この記事では、ハチが毒を飛ばす目的とその対策を主に取り上げました。
毒を飛ばされるような状況にならないのが理想ですが、意図することなく近づいて警戒されてしまう場面はありえます。
特にアウトドアレジャーで山などに行かれる場合は、ハチの存在に気づいた段階で「ゆっくり行動」を意識すると、被害に遭う確率が下げられるものと思います。
ハチの駆除をお考えなら、十分な装備を整えてからが原則ですが、少しでも不安を感じるなら専門業者へ依頼することをおすすめします。
広島県内と隣県なら「ハチトラブル解決隊」が駆けつけますので、刺激して戦闘に陥る前にご相談くださいね。
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