屋根の下の隙間からハチが出入りしてるので、退治してもらえませんか?
よく、このようなご要望をいただきます。
この場合、ほとんどのケースで、「屋根の隙間」ではなく、「屋根裏の通気口」からハチが出入りしています。
屋根裏に湿気が溜まるのを予防するため、建物にはほとんどの場合、このような通気口と呼ばれるものが設置されていますが、このようなケースでは、蜂の巣が屋根裏に作られているのがほとんど。
我々のような蜂駆除業者が対応する場合、屋根裏へのアクセスを探し、そこから突入して蜂を退治したうえで、巣も撤去するという流れになります。
しかし、一般の方が自分で対処される場合、ハチさえいなくなれば良いと考えられるでしょうから、スプレーなどで蜂を駆除しても、巣はそのまま残しているのではないでしょうか。
成虫を倒してしまうことができれば、刺されてしまう恐れもなくなり、巣は見えないところにあるため、気にならなくなってしまうからです。
しかし、この選択が後の問題になってしまうこともあり得ますので、ハチの駆除と合わせて巣は撤去したほうが無難です。
今回は、その理由についてまとめてみました。
蜂の巣は見えない場所でも撤去したほうが良い
ミツバチ以外の多くのハチは、冬になると新しい女王バチ以外が全滅し、新しい女王バチは外に出て、土の中などで冬眠に入りますので、巣は空になります。
そのため、時期によっては駆除することなく、放っておくという選択肢もあり得るのは事実。
しかし、駆除せずにおくと、以下のような問題が発生する可能性が高まってしまいます。
- 残っているハチの巣を材料に使って、新しいハチの巣が簡単に作られてしまう
- そこで生まれた女王バチは、巣を作れる場所として覚えてしまう可能性がある
- 他の害虫・害獣などが住み着いてしまう場所になる可能性がある
- 成虫だけを駆除した場合、天井から幼虫などが垂れてくる原因になる
以下、それぞれに理由を簡単に説明していきます。
残っている蜂の巣を材料に使って新しい蜂の巣が作られる
まずは下の写真を見てください。
これは、今年の夏ごろに駆除した、非常用発電機の中に作られたコガタスズメバチの巣の写真です。(一部駆除したハチが映り込んでいるため、ぼかしをかけています)
暗くなる時間だったため、ヘッドランプを使っていましたから、撮影したスマホの影が入り込んでいますが、よく見ると、巣の周りの防音材が削り取られ、下に山積みになっているのがお分かりいただけると思います。
では、次に下の写真を見てください。
この写真は、以前の記事でも紹介した、たくさんの巣が残されていたお宅で撮影されたものです。
一番手前に見えている、殺虫剤で濡れているのが今年作られた新しい巣でした。
隣にある丸く巨大な巣(去年以前の古い巣)との接触している部分をアップにしたのが下の写真です。
赤枠で囲んだ部分に注目してください。
古い巣が削り取られたようになって、そのスペースに新しい巣ができているのがわかると思います。
このように邪魔になったものは、前年までのハチの巣であっても削り取られていくのです。
では、この削り取った巣は、どうなったのでしょうか?
ただ邪魔になっただけなら、削り取った巣は、先に見た発電機内部の防音材と同じように、そのまま下に溜まっていくはずです。
しかし、巣の下をアップにした下の写真を見ると、そのようなゴミが溜まっている様子はありません。(駆除したハチが映り込んでいるため、一部ぼかしを入れています)
削り取った巣は、どこへ消えてしまったのか?
以下のようなことが起きたのではないかと推測されます。
- 1巣作り場所の選定
春になって暖かくなってくると、女王バチは巣作りの場所を探します。
偶然にも(去年この中のどれかから生まれた女王バチかもしれないので、その場合は必然)この場所を見つけました。 - 2巣の材料集め
本来なら外で危険(鳥や人間など、危険な相手はたくさんいます)を冒しながら集めなければならない巣の材料が、ここには大量に置き去りにされている。運ぶ手間もかからずラッキー!
- 3働きバチも同じ行動を
外へ出ることなく巣の材料が手に入るのですから、あとは自分たちの養分と、幼虫を育てるための餌を探しに行けばいいだけです。
巣を大きくするのに邪魔な部分は削り取り、新しい巣に使ってしまおう!
こんな良い条件の場所を見逃す理由はありません。
以前の巣をそのままにしておくと、巣の建築材料を提供して、わざわざハチが住みやすい場所を作ってあげているようなものなのです。
そこで生まれた女王バチは戻ってくる可能性がある
民家の近くなどで発見されるスズメバチの巣の多くは、キイロスズメバチかコガタスズメバチの巣です。
その中でも働きバチの数が圧倒的に多いのがキイロスズメバチ。
家などの屋根裏に巣を作っているものの多くは、このキイロスズメバチです。
体はスズメバチの中でいえば小さい方に分類されますが、その数で大型のスズメバチや人間を攻撃する力を持っています。
子孫を増やすための力が強く、働きバチばかりではなく、秋に生まれ、翌年に新しい巣を作る女王バチも、他のスズメバチよりたくさん生まれるのです。
その数は200程度と言われていますが、働きバチが1500を超えるような巨大な巣になった場合は、さらに増えることも。
その年に生まれた新女王は、元居た巣を飛び立ち、雄との交尾を済ませてから冬を超えるために冬眠を始めます。
翌年の気温が高まる時期が来ると、冬眠場所から出て、新しい子孫を増やすための巣作りを始めます。
その際、以前の巣の場所を覚えているハチもいるようで、同じ場所に戻って、別の巣を作り始めてしまう可能性があり得るのです。
特に、一切危害を加えられることなく、安全に旅立つことができた場所は、新しい女王にとって、懐かしい故郷のようなもの。
里帰り気分で毎年巣を作り続けられるようになってしまいかねません。
これを防ぐためには、新女王が飛び立つよりも早く、巣ごと駆除してしまうこと。
毎年巣を作り続けられていれば、いずれは何らかの人的被害が発生しても不思議ではありません。
特に、小さな子供がいる地域や、高齢者がいる地域では、毎年夏から秋にかけて、命を脅かす危険な時期になってしまうことも。
発見したら駆除、そして巣の除去という選択を取るのが、自分にとっても、周囲にとっても安全なものになるのです。
他の害虫・害獣が住み着いてしまう場所になる
スズメバチの巣は、木の繊維などをスズメバチの唾液で固めて作られています。
唾液にはたんぱく質が含まれていて、非常に強力な接着剤として機能します。
しかし、実際に駆除して巣を撤去していると分かるのですが、ビニール袋などに入れてしばらくすると、全体が水分を含み、柔らかくなってくるのです。
乾燥し続けている場所なら起きないことではありますが、湿度が高い場所に空の巣が残っていると、水分を吸いこんで崩れたり腐敗し、それを食べる害虫を寄せ付けてしまうことにもなりかねません。
考えただけでも不衛生な状態になることが予測できるでしょう。
においがしたり、汚物が垂れてくる可能性も発生します。
また、乾燥した状態なら、ほとんどそのままの形、状態を維持して空の巣は残っていきますが、その場合、害獣が住み着いてしまう原因になる場合もあり得ます。
いわば強度の高い紙のような材質で作られているため、保温性が高く、動物にとっても快適な環境となるのです。
実際、ネズミなどの小型害獣が住み着いていたという事例も報告されており、残してあることがマイナスにしかならないという事実がご理解いただけるかと思います。
成虫だけを駆除した場合、天井から幼虫などが垂れてくる原因になる
一般の方がハチに刺されないだけの防護をして、気合いでスズメバチの成虫を駆除された場合、天井の裏側に潜んでいる巣まで撤去しようとは思われないケースが多いのではないでしょうか。
当面の危機は去っているわけですし、少なくともその年に関していえば、危険なハチが目の前を飛ぶ可能性は低くできています。
しかし、天井裏には巣が残ったままで、その中では残された幼虫やさなぎが、生き残っているのです。
さなぎの場合は、他の助けがなくても、自力で羽化するところまで到達できるでしょうが、羽化するまでの時間は、外から餌を持ってくる働きバチ不在の状態に。
そうなると、幼虫はいずれ命を落とし、腐敗していくことになるでしょう。
もともと薄い皮に包まれてはいますが、幼虫はほとんど液体のような生き物です。
それが腐敗すれば、皮も破れて液が外へ流れ出します。
先ほども書きましたが、ハチの巣は水分に弱いため、たれ落ちた幼虫などが巣の底にたまってくると、いずれは底が抜けて、天井へ落下する結果となります。
天井の構造にもよりますが、そのまま天井の上に溜まってしまうか、天井の板の隙間からたれ落ちるかとなりますが、いずれにしてものちの被害が想定されます。
天井の上に溜まった場合、天井の板にしみこんで、天井を腐らせてしまう原因になったり、そこに虫を集める理由になることが考えられます。
そうなれば、天井が壊れてしまったり、害虫が家の中にわいたりという被害が起きてしまうでしょう。
天井の隙間からたれ落ちてきた場合は、天井が汚れてしまうだけではなく、室内のソファや家電などに腐敗した液体がかかることになってしまいかねません。
最悪、電気を取り出しているコンセントなどへたれ落ちた場合、火災を起こす原因にもなってしまうのです。
このような事態にならないためには、ハチを駆除する場合は、成虫だけではなく、巣の撤去も一緒にやっておくことが重要。
被害を拡大させないためにも、確実な対処をおすすめいたします。
まとめ
天井裏に作られてしまったスズメバチの巣を、一般の方が取り除くのは非常に困難な作業です。
無理をすると、天井を踏み抜いてしまったり、ケガのもとになってしまうばかりか、残っていたハチに襲われる可能性すらあり得ます。
このような危険が伴う作業は、専門の人間に任せるのが、安全で、最もリスクが少ない方法。
広島県内や隣県であれば、我々が対処しますので、ぜひご相談ください。
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